■新入社員教育.comの「思い」と「志」

#132 新入社員教育 「書く技術」⑥


「書く技術」をもって相手に思いを伝え、相手の心を動かす。その実践例。

新入社員にとっても企業にとっても必須となる「書く技術」の初歩的体得。

これについては最近5回にわたりお話しをして参りました。

「書く技術」は「伝える技術」の一つ。

理論やあるべき論をはじめとした体得を促す術(すべ)についてのお話だけではなかなかイメージしずらいとも思います。

ですので、本日は私の社会人生活のなかでもっとも印象に残っているお話をさせていただきたいと思います。

相手に思いを伝える。その経緯。

あれは忘れもしない2009年8月。

私は当時、ある営業拠点の責任者と該当エリアの統括責任者を兼任しておりました。

 

「失礼します・・」

 

 

他の拠点を訪問後、自店の営業終了時刻を少し過ぎたあたりで自店に戻り、当日の営業結果の確認などをしていると、社員のAさんが、私のところに。

 

Aさん
ドットコム店長、よろしいでしょうか・・。

 

わたくし
おう、どうした?

 

Aさん
先ほど・・

 

内容を簡潔に記すとこのようなことでした。

■閉店間際、お客様のお会計を担当した。

■ポイントカードをお預かりする。

■ポイントカードを床に落とす。

■カードが什器の下に入りこむ。

■カードを取り出すのに時間がかかった。

■お客さまをお待たせした。

■対応中の説明等、対応は十分ではなかった。

■約10分後、カードを取り出すことができた。

■「二度と来るか!」お客さまは激怒。

■カードを折り曲げ、投げ捨て退店。

 

手元にあるカードの使用履歴を調べたら、平均して月に10回はコンスタントにご来店のある超常連様。

 

わたくし
おいおい・・。

 

Aさん
申し訳ございませんでした・・。(以上)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わたくし
申し訳ございません?それだけかよ。どうすんだよ?

 

単に頭に来たワケではなく、そうなった理由を考えてもらいたかった。

二度と同様のことを起こさぬようどうするのか。

それが聞きたかった。

 

わたくし
常連様逃がしてそれだけかよ?

 

わたくし
どうしてくれんのよ?

 

わたくし
月間いくらの売上・利益損失よ?

 

わたくし
お前が常連様を獲得してくれんのかよ?してこいよ!

 

Aさん
・・・。・・・。

 

いまでこそ本当に申し訳なかったと思うのですが、それはそれはあるまじき罵詈雑言を並べ立てた。

でも、それでは何にも進まない。

 

わたくし
もういい、戻れ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冷静に頭を冷やし考えた・・

 

 

わたくし
さてどうするか・・。

 

わたくし
俺はいったい何がしたいのか・・。

 

結論

 

 

わたくし
許してもらいたい!

 

わたくし
またご来店いただきたい!

 

わたくし
業績を下げたくない

 

わたくし
そういうことだよな・・

 

お客様のご住所は分かる。

本来ならお伺いしたい。

お客様にもご都合がある。

いきなり訪問するのもいかがなものか。

であれば、これしかない。

 

 

相手に思いを伝える。やったこと。

相手(お客さま)に思いを伝える。

社用箋を用意し、さっそく取りかかった。

 

わたくし
丁寧に。とにかく丁寧に・・。

 

これだけを念頭に。

したためたのは以下のようなこと。

相手に思いを伝える。其の壱。

お客さまに自分の思いを伝える。

まずはこのようなこと。

商売を営む以上、お客さまを不快な気持ちにさせた段階で言い訳の余地はない。

自分がお客さまの立場であっても腹を立てるだろう・・。

 

わたくし
今回の出来事に対する謝罪の旨

 

わたくし
すべての非は当店にあり、お客様に非はまったくない旨

 

わたくし
お客さまが不快感を感じた時点で、弁明の余地はまったくない旨

 

このようなことを記したと記憶しています。

 

相手に思いを伝える。其の弐。

相手(お客さま)に思いを伝える。

その原因は何だったのか・・。

ひとえに責任者である自分の教育不足。

教育不足とは以下のようなこと。

 

わたくし
細心の注意をもってお客さまのカードを扱うべきであった旨

 

わたくし
取り出し困難であれば、その旨をお客様にきちんとご説明差し上げ、所要時間の見込み、次回ご来店の際の対応等の提案をすべきであった旨

 

わたくし
対応に終始し、お客さまのご都合がまったく考えられていなかった旨

 

「教育不足」だけでは伝わらない。

二度と同様のことを発生させぬべく、対応策と併せての記載をした記憶があります。

 

相手に思いを伝える。其の参。

相手(お客さま)に思いを伝える。

自分はお客さまにどうしてほしいのか。

まわりくどいことを言っても仕方がない。

本音で本気で本心で伝えるしかない。

 

わたくし
できることなら直接お会いして謝罪をさせていただきたい旨

 

わたくし
許していただけるのであれば、またご来店いただきたい旨

 

 

 

 

 

 

お客さまのカードは先述の通り、使用不能であるため、新しいカードを再発行。

自分の名刺とあわせて同封した。

 

 

わたくし
不要であれば処分していただきたい旨

 

このようなことを記しました。

 

相手に思いを伝える。其の四。

相手(お客さま)への思い。

本当に思っていることを丁寧に丁寧に記していく。

 

 

あ、間違えた・・
言い回しがおかしいか・・

 

そのたびに何度も書き直した。10回以上は書き直した。

修正テープなど使えない。

完成。便箋6枚分にもなった。

読み直す。何度も読み直す。

まだ伝えるべきことがあった。またやり直す。

再度読み直し完成。

できるかぎりのことはした。

 

翌日の午前中に速達での発送を指示

 

 

わたくし
ダメだろうな・・

 

まったく期待していなかった。

 

 

時はが経つこと数日・・

 

 

1週間は経っていなかったと記憶しています。

本社での会議が終わったあと、拠点に戻ると・・

 

 

 

デスクに私宛の一通の封書が・・。

 

わたくし
もしや!

 

 

裏返してみてみるとやはりそのお客さまからのお手紙。

 

わたくし
驚愕!

 

 

 

 

 

ドキドキしながら開くと、ワープロで作成された書面に以下のようなことが。

 

 

 

 

お客さま
責任者からの手紙を受け取ったことに対する驚きと感謝

 

 

お客さま
貴店に不手際があったことは事実だが、大人げなかったことをしてしまったと自責の念を感じていた

 

 

お客さま
ゆえにあの手紙を受け取って救われた感じがした

 

 

お客さま
不手際があった従業員のことをどうか責めないでほしい

 

 

お客さま
貴店には夫婦ともども古くから訪問させていただいてきた

 

 

お客さま
同封いただいたカードを持ってまた訪問させていただく

 

 

 

 

 

うっ・・うっ・・

 

 

 

言い知れぬ感動を覚えたことは言うまでもありません。

その週末にご夫婦そろってご来店もいただけた。

お客さまもバツの悪さのようなものがありそうだったので、あえてお声かけはしませんでしたが。

相手の心を動かしたもの

お客さまに思いを伝える。

想像の域を出ませんが、なぜお客さまは許してくださったのか。

手前味噌な記載となりますが、私の謝意や熱意を起点とした「書く技術」に他ならなかったはずです。

 

わたくし
評判を下げてはならない

 

わたくし
業績を下げてはならない

 

であれば、

 

お客さま
もう二度とくるかー!

 

退店されたお客さまに何としてでも許していただかなくてはならない。

結果として許してもらえないにしても、こちら側の謝意は伝えねばならない。

そのために以下のようなことを念頭に手紙をしたためたからに他ならないのです。

①一画一画とにかく丁寧に

②責任の所在・原因→思うところを本音で

③お客さまへの要望→ストレート・本音で
※お許しいただきたい・再来店いただきたい旨

④再来店いただける状況を整備
※新規カードの同封

 

わたくし
パソコンで作った文書であったら・・

 

わたくし
雑だったら・・

 

わたくし
誤字・脱字があったら・・

 

わたくし
検討・善処などの曖昧な表現が多かったら・・

 

わたくし
お客さまに対して求めることを記載していなかったら・・

 

その誠意・謝意は伝わったのか。

結果としてお客さまは許してくださったのか。

こんなことなのだと思います。


全員への徹底を図るのもなかなか難しい。

悪気がなくとも、商品に問題がなくとも、お客さまをご立腹させてしまうというケースはどうしても出てしまう。

お客さまの許容範囲もそれぞれ。

対応に不備が出てしまうことも、ときには仕方がないこともあります。

ただ、そのあとの対応によっては事態を好転させることだってできるのだということ。

これは「書く技術」が大きく作用した一例だと思います。

直接会わずとも十分に思いは伝えられる。

考える時間も十分にあるからこそといえるかもしれません。

「書く技術」。

これは新入社員にかぎらず、企業人にとっては必須の技術です。

みなさまにおかれましてもぜひご点検いただければ幸いです。

 

ドットコム
企業における新入社員教育の成功を通じて従業員の育成力向上と定着率アップを実現し、業績の向上を通じて社会に貢献する! 

新入社員教育.comでした。


 

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ABOUTこの記事をかいた人

とある企業で約20年間にわたり、新入社員をはじめとしたさまざまな階層の方々を対象とした社内教育プログラムの企画立案および運営を担当させていただきました。最近では専門部署の立ち上げを行い実績を挙げた経験から、悩みを抱える若手社員の方々、世代の違いや離職率の上昇など、さまざまな困難に直面されている企業様や教育ご担当者様、そして就職に悩まれる学生の方々のお役に立てればとの思いで当ブログを開設致しました。どうぞ宜しくお願い致します。